【体験談】アスペルガー当事者が経験した社会人5年目の様子とは?

ASDの日常

こんにちは。みなみ。(youtube.com/@minami-life)です。

この記事では、私の発達障害(ASD)体験をもとに、メンタルについて投稿しています。

質問者
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自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたけど、将来困ることを先回りして知りたい。身近な人がASDだけど、ASDで困っている当事者の声が聞きたい。自閉スペクトラム症(ASD)と診断された当事者のリアルが知りたい。

こういった疑問にお答えします。

✔本記事の内容

・アスペルガー当事者が体験した社会人5年目の様子とは?
・環境の変化や仕事量の増加で体が限界に

✔記事の信頼性

30代で発達障害(ASD)と強迫性障害と診断された当事者が、記事を書いています。

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アスペルガー当事者が体験した社会人5年目の様子とは?

某大手通信事業者で、固定資産管理の業務を担当します。前回の出向先は、業務量の減少に伴う人員削減で、退場になったからです。

希望した仕事ではなかったですが、仕事のやり方などは自由だったので、こだわりを発揮して業務に活かすことができました。また、やることが決まっていてイレギュラーが少なく、やりとりがメール中心の環境が合っていたようです。

しかし、環境の変化によってバランスが崩れてしまい、体調が悪化して限界を迎えることになります。

引き継いだ業務はむちゃくちゃだった

固定資産管理の業務は、簿記の知識がない私にとって不安の毎日でした。なぜなら、仕事のやり方はわかりましたが、本質的なことがわからなかったからです。したがって、常に緊張状態の中で仕事をしていました。

しばらくすると、段々と仕事の全体像が見えてきます。それに伴って、扱うデータの範囲も広くなりました。いろいろなことが見えてくる中で、前任者から引き継がれなかった負の遺産を発見します。

機器部材数の不一致

部材の転用で問題が発生します。なぜなら、現地の部材数と固定資産システムに登録されている部材数が一致しなかったからです。客先に相談すると、別の機器にバンドルしていたことが原因だとわかります。

A機器→100万円
C部材→5万円

<パターン1>A機器(C部材付き)105万円
<パターン2>A機器(単体)100万円
<パターン3>C部材5万円

パターン1,2は「A機器」という同一名称で、減価償却後は区別することができません。また、1つの機器に複数の部材がバンドルされているパターンや、消耗品に固定資産がバンドルされているパターンなど多岐に渡り、対象が不明で収集がつかない状態でした。

客先に報告すると「うまくやって」の一言だけです。ですが、どううまくやればいいのかわからず、でも、客先を失望させたくないから相談もできませんでした。やり方の案が浮かんでも、言語化できずに説明できません。

最終的にはフォローしてもらえましたが、こんなものは氷山の一角という話を耳にします。少しずつ課題解決のタスクが増えていき、通常業務を圧迫していきます。

参照先データの精度低下

固定資産の登録業務で問題が発生します。なぜなら、参照先データの精度が、担当者が変わったことで悪くなったからです。

具体的には、工事費が誤っていたり、工事完了後に工事日が変更(例:06/01完了→04/01完了)されたり、工事状況ステータスのルールを無視した変更(完了→確定、要再工事→完了、完了→要再工事) (例:07/01完了→08/01確定)が頻発します。

謝罪や全体周知もなく、サイレント修正が日常的に行われていました。

たとえば、「1+1=」の式を施工管理チーム、答えを資産管理チームが担当していたとします。資産管理チームは式をもとに答えを求めるので「1+1=2」になりますね。そこから、施工管理チームが勝手に式を変更して「1+3=2」になるイメージです。システムの仕様上の問題で、あとから答えの修正はできませんでした。

結果だけ見ると、資産管理チームがミスしたように見えてしまいます。そこで、客先に事情を説明しましたが「参照先データの確認も業務の一つ」と指摘されます。

ですが、工事の進捗なんて、施工管理をやっている本人しか知り得ない情報で確認のしようがありません。業務の範囲を超えた指示でしたが、断ることが出来ず、なんとか施工管理チームのメールを漁って調べましたが、いくら時間があっても足りませんでした。

アドリブが苦手

客先との会議や打ち合わせで、業務に関する相談や説明をする機会が訪れます。業務に精通したリーダーの立場を求められたからです。

ですが、アドリブが必要な質問をされると、どうすればいいかわからず沈黙します。とはいえ、普段はそれほど困難を感じることはなく、前もって議題を聞いたりすることで、カバーできていました。

しかし、その日の会議には事前告知がなく、お客さんから「この件なんだけど…」「〜はどうする感じ?」と聞かれます。分からないけど話さないといけない状況に耐えられず、的外れなことをいって場を白けさせました。

こだわりを仕事で発揮

VBAやRubyで業務の効率化をしました。どうしても学校で学んだITの知識を活用したかったからです。また、「楽をするための苦労は惜しまない」こだわりがあり、無駄に苦労したくなかったからです。具体的な成果物は下記の通りです。

①登録時に必要なCSVファイルの自動作成機能を実装/ツール名:VBA
【成果】一日あたり70件の2時間作業→10秒まで削減

②固定資産管理システムへの登録を自動化/ツール名:Ruby
【成果】一日あたり70件、1件あたり3分作業→30秒まで削減

他人のミスが許せない

他人のミスを指摘せずにはいられませんでした。なぜなら、自分はミスがないよう細心の注意を払っているのに、他人のミスが原因で自分の仕事に影響が出るのが嫌だったからです。

いくら自分が正確な仕事をしても無駄になってしまいます。また、「フォローできない方が悪い」と言われるのも納得できず、「確認」という誰でもできる、能力関係ない行為を疎かにしていることも許せませんでした。

ですが、話はこれで終わりません。様子を見ていた同僚から「場を乱すな」といわれます。いわれた意味が分からず、互いがにらみ合って言い争うトラブルに発展しました。

今思えば、仕事の向き合い方に温度差があったんだと思います。それでも、「正しいことをしているのに、批判されるのはおかしい」という思いから、一歩も引くことができませんでした。

環境の変化や仕事量の増加で体が限界に

「答えを創れたかどうか」「問題を解決できたかどうか」など、非定型の業務がメインになります。社会人7年目になり、リーダー的な立場を求められるようになったからです。

ですが、問題を解決できるかどうかは何も保証がなく、実際の成果に結びつくかは初期段階では全く解りません。成果が出なければ容赦なく酷評を受けます。

このような背景で、重い責任とプレッシャーに耐えられず、体調を崩してしまいます。

新人の教育

現場責任者と仲良くなったタイミングで、自社の人間を使ってもらえるよう営業をして、二人分の枠を確保します。なぜなら、「このままでいいのだろうか」という不安と、上司からのプレッシャーで焦っていたからです。

ですが、初日から遅刻して悪びれる様子もない新人が来てしまいます。仕事中に居眠りを繰り返し、仕事が進まないばかりかチームの雰囲気も悪くなります。

居眠りタイムは午前午後関係なく訪れ、放っておくと15分程度うとうとしています。病院に行くよう勧めましたが、一向に行く気配がありません。

さらに、様子を見ていた客先から何度も会議室に呼ばれる事態になって頭を抱えます。以上のことから、通常業務の時間が圧迫され、周りからの痛い視線にも晒されて疲弊していきます。

新システムへの移行プロジェクト

新システムへの移行プロジェクトが始まります。会社の方針として、各部署でバラバラだったシステムを統一したい思惑があったそうです。

ですが、業務の実態とはかけ離れたシステムで、K用にGを無理やり入れるようなイメージでした。移行を主導したシステム部門は、各部署をフォローすることもなく、とりあえずやった感がある説明しか行いません。

検証環境を準備してくれましたが、不具合で動作しませんでした。

また、移行後も問題が多く発生します。「移行データの誤り」「固定資産データの重複」「システム間のデータ不一致」「システム間の連携エラー」「システムエラーによる検収不可」があり、仕事がまったく進みませんでした。

正しく修正するようにシステム部門に問い合わせをしましたが、主管が対応する仕事にも関わらず、「なぜ問題が発生したのか」「何をどのように変更するのか」を求めてきます。

対人折衝が苦手な自分は、相手と交渉することができず、いつも損をするポジションにいました。

環境の変化に耐えられず

職場の体制変更が、休職に至る最後の一押しになります。なぜなら、長い時間をかけて必死に築いてきた客先との人間関係がなくなってしまうからです。

新しい客先と一からやっていけるだけの体力は残っていませんでした。頭痛や腹痛で会社を休みがちになり、思考が回らなくなります。

フォローしてくれる人は誰もいません。また、向かい側の席にいる他部署の人間が、こちらを見て悪口をいっているように見えて耐えられなくなり、ついに限界を迎えます。

まとめ

こだわりを発揮することで能力を活かすことができ、業務に活かすことができました。やることが決まっていてイレギュラーが少なく、やりとりがメール中心の環境が合っていたようです。

人間関係で軋轢を生むことがありましたが、フォローしてくれる人のおかげでなんとかなりました。

ですが、環境の変化によってバランスが崩れてしまい、限界を迎えることになります。

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